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「君のご両親と僕は知り合いなのかな?」 「なに言ってるの、パパ」 「パパ?」 「ママはパパの上司でしょ、緒方マリ」 「マリさんには、君みたいな大きなお子さんはいないよ」 「そりゃそうよ、あたしにだってそんなお姉ちゃんに心当たりはない」  なんだろう、さっきから全く会話が噛み合わない。なにかひどく大きな歯車が外れて、どこかに飛んでいってしまったみたいに何もかもが成立していない感じがする。 「あたし、未来から来たの」 「未来?」 「そう、未来」  そういえば、この子は自分のことをリコだと名乗った。リコちゃん? いやいや、リコちゃんはまだ保育園に通う5歳児だ。こんなに大きな女の子ではない。  ……未来からきた?  確か、いつかどこかで見たアニメで、ひきだしが過去や未来に繋がっていた作品があった。  ……これは、まさか。 「端的に言うわね。ママと結婚しないで」 「は?」 「正確に言うと、まだ結婚しないで」 「結婚だなんて、マリさんとはまだ」 「今日、ママからプロポーズされる予定になっているわ」 「なんだって?」 「そうね。ちょうど朝礼の後、パパだけ残るよう言われて、そのあと告白されるの」 「どんなタイミングだよ?!」 「ほらママってさ、ちょっと変わってるじゃん。朝、あたしを保育園に預けた後にとっさに思ったんじゃないかな。あ、再婚しようって」 「そんな……マリさんから、プロポーズだって?!」 「それ、断って。あっさりと華麗に」
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