パパみたいな人と結婚するの♡

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「こんにちは。大下 和春(おおした かずはる)です。」 その男が家に来た日、 顔を見た瞬間、不安がよぎった。 「あら、貴方にちょっと似てない?目元とか!」 ホノカの彼氏である大下くんを和室にお通しし、向かい合って座るなり、妻が僕に言った。大下くんははにかみながら頭を掻く。 「本当ですか?ははっ、嬉しいです、ホノカさんからはいつもの『うちのパパはかっこいいのよ』って教えてもらっていたので…」 ーーーーーいや。 目元だけではない。大下くんは、若い頃の自分にとてもよく似ていた。顔も、体つきも。 ……いや、違う。 これは不安からくる思い過ごしだ。 だって“彼女”はあれきり僕に何の連絡もしてこなかったじゃないか。もしそうなら、何万分の1の確率だ?ありえない、そんなはずはない、 いや待ってくれ、“彼女”の苗字って確か… 「和春さんはね、すごくパパと話が合うと思うの!和春さんもパパと同じように高校生まではサッカーをやってて、今もフットサルを続けてるのよ!」 ……サッカー。 いや、たまたまだ。サッカーというポピュラーなスポーツをやっていたことが被ったからなんだというんだ。 ああ、まずい、“彼女”の苗字が思い出せない… 「あと、パパと同じで、お酒を飲むと喉がヒリヒリしちゃうから、あんまり飲めないのよ!和春さん、安心してね、うちのパパはお酒を強要したりしないから!」 ……酒。 いや、同じように飲めないからなんだと言うんだ。人類は酒が飲めるか飲めないかの2種類しかいないんだから、二分の一の確率で同じだったところで大した確証にはならない。 ああ、それよりも“彼女”の苗字、 “彼女”の苗字……っ、 くそっ、思い出せるわけがない、当然だ。 いつも下の名前で呼んでいた女と、たった一晩ヤッただけなんだから。
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