パパみたいな人と結婚するの♡

7/8
前へ
/8ページ
次へ
目の前にいるのは、あのときの子か? いや、そんなはずはない。 だってちゃんと僕はゴムをつけていたはずだ。いや、わからない、あの時は大して酒も飲めないくせに調子に乗って飲んでしまって、ちゃんと避妊していたか定かじゃない。 いや、違うにきまってる。そもそも妊娠したなら、あのパパ活女は死にものぐるいで僕に連絡を取ろうとするはずだ。でもどうだろうか、僕はアカウントも消して、連絡手段も全てシャットアウトしてた。もし連絡出来なくて泣き寝入りしていた場合は? しかも用心深い僕は、自分の個人情報を相手には一切告げず、食事する場所も自分の普段のテリトリーからは離れたところをあえて選んでいた。 いや、だから、違う、そんなわけがない、確率的にありえない……!! 「パパ?」 ホノカが、不思議そうに僕の方を見てきた。僕は引きつった笑みを浮かべる。 ……こうなったら、確認するしかない。 「大下くんは、お、お父さんのことは、何か記憶にないのかね?」 この質問にホノカが「パパ!?」と一瞬顔を顰めた。 違うんだホノカ。これはホノカのためなんだ。もし、万が一、いやありえないとは思うが、万が一、彼がホノカの異母兄だったら、大問題じゃないか…!!そんなおぞましいこと…!! 「あなた、」 妻が僕をたしなめようとしたけど、大下くんはカラリと笑って口を開く。 「構いません。大丈夫です。 私自身は父を見たことないので記憶もなにも無いんです。母に何度もどんな人なのか尋ねましたが、母も全然教えてくれなくて。ただ、母よりずっと年上だったことは教えてくれました。 私としては、父に会ってみたいと思っています。こうして弁護士になれたので、色々な方法でこれから父を探してみる予定です。」 大下くんの言葉に背筋が凍った。 父を、探す? 心臓がバクバクと音を立てて、もしかしてこの男、僕が父親と分かって言っているんじゃないのか?カマをかけてるんじゃないのか? 「そ、そうかね、」 僕がポツリと返事をした後、大下くんは「ちょっとお手洗いに…」と席を立った。大下くんがいなくなると、妻が不思議そうな顔をする。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

64人が本棚に入れています
本棚に追加