形見の人形

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従兄弟が死んだ。 小学校卒業を目の前に。 病気になってから亡くなるまであっという間だったそうだ。 葬式の後、死んだ従兄弟のお気に入りだった人型の怪獣の人形を、仲の良かった別の従兄弟が形見分けとして受けとることになった。 ところが一週間もたたないうちに人形をもらった従兄弟が「この人形、呪われてる!」と騒ぎ出した。 それからいろいろあったらしくて、どういう経過でそうなったのかはわからないが、その人形を僕がもらい受けることになった。 欲しいなんて一言も言ってないのに。 その結果、人形は僕の部屋の隅にある棚の上に置かれた。 数日は何もなかった。 ところがある日、自分の部屋に入ろうとしてドアノブに手をかけたところ、かさかさかさと小さく素早い音が聞こえてきた。 一瞬動きが止まったが、それでも戸を開けて中を見た。
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