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現在は六代目の与志夫に取り憑いているのだろうが、特に実害はない。それどころか与志夫は彼女のことを、ずっと家族のように思っていたのだ。
物心ついたときから、家業で忙しい両親より、与志夫のそばにいたのはキヨだった。その姿が自分にしか見えていないと気づいたのは、小学校に上がった頃のことだ。普段は憎まれ口ばかりで不遜な態度だが、与志夫の両親が事故で亡くなった時も、初恋の幼なじみが結婚した時も、慰めてくれたのはキヨだった。
「お前の住処を潰してしまうことは、申し訳ないと思っているよ」
与志夫が少し目線を逸らして言うと、キヨはわずかに首を傾げて目をすがめただけで、何も答えなかった。
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