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花の家は賑やかだった。
両親と五人兄妹、祖父母の大所帯。
二人の兄と二人の妹の真ん中に
生まれてしまった花は
「お帰り、御飯をお願い」
「井戸から水を汲んでおくれ」
「悪いね、妹達の面倒をみて頂戴」
常に家族に“アテ(頼り)”に
されて過ごしていた。
かといって花は
それを嫌ってもいなかった。
ただ、女学校帰りには
ほんの少しの寄り道を。
友達と港町の駄菓子屋で
氷や汁粉をオヤツにするのを
ちょっとした骨休みに。
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