第11話. 涙の無駄遣い

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  そんなこんなで、月日は流れていった。  私はその期間も何度か定期的に 「元気にしてる?」 「どうしてる?」  「ちゃんと食べてるかな?」などとLINEを送っていた。  それでも、未読のまま。  Aさんが私のメッセージを読んでくれることはなかった。             だけど、ある日ふと、たまに既読になっていることに気付いた。 「Aちゃん…私のLINEに気付いていないわけじゃないんだ…」  ちょっと驚いた。じゃ、わざとスルーしてたの?  それとも、返信できない理由でもあるのだろうか?  そこで私は、ひとつのアイディアを思い浮かべた。  外出時に食べた料理やスィーツや、自宅で作った料理を写真におさめるようにしよう!と。  ブログにたまに載せる程度しか料理の写真は撮らないできたが、いつも撮るように心掛けた。     「カシャ…」  よし、なかなか上手く撮れたぞ。  ファミレスでランチの写真を撮る私の目の前に座っている夫は、不思議そうに眺めてくる。 「まゆちゃん、最近どうしたの?ご飯の写真ばかり撮って」 「ちょっとね♪」 「…またブログでしょ」    夫の顔色が急に冷めた。    「ちがうよ。ブログに載せるんじゃないから」            相変わらず夫はブログに対しては嫌悪感をあらわにする。  例えこっそり書いているアメンバー限定ブログであろうが、夫にとってはブログはブログなんだ。  不定期更新で、月に1〜2回しか更新していないけれど、夫にとってはブログはブログに変わりないんだ。  ……気持ちはわかなくもない。  (わたしの身の回りはまたKさんとJさんのことでゴタゴタしていたので)    でも、そこまで露骨に嫌な顔をされると、ちょっとなぁ……。  それでも何も言い返せない自分が情けない。  言い返すことができない事実が、悔しくてたまらない。
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