第11話. 涙の無駄遣い

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   そしてその写真がある程度溜まったところで、AさんのLINEのトーク画面を開いて、料理写真を一斉送信した。  ―――Aさんは、摂食障害を患っているので、いつも「美味しく食事をしたい、なのにできない」と悲しみに暮れていた。  AさんのLINEのトーク画面のデザインは、自作料理の写真に設定されていた。  美味しそうな食べ物の写真を目に触れるところに置いて、「美味しく食べたい」というモチベーションにしているのかな、と勝手に想像した。    私が撮りためて送信した料理やスィーツの写真は、Aさんのトーク画面で すぐに既読になった。 「わ!既読になった!」  早かったな。ちょっと嬉しい。  すかさず今度はメッセージを打って、送信した。  「 最近食べたお料理だよ〜。  Aちゃん、 美味しいもの食べれているかな?  元気になって話す気になったら連絡待ってますよ。お姉ちゃんはいつでも妹の味方だからね」  すると、Aさんの返信もソッコー届いた。    「まゆちゃん!!!!!  最近は元気にモリモリ食べてリバウンドしち やいました(;w;)なんとか.… 今回も乗りえれたよ(;ω;)いつもありがとう(´;ω;`)  Aさんが顔文字を使うくらい大きな反応を示してくれたことが、嬉しかった。  「よかったぁ!!ブログ読んでるよ。 色々あったんだね。辛かったね、なんも力になれないでごめんね」  こう送ったら、ピタリと返信は止まってしまった。  けれど、私はこれで満足だった。  Aさんが元気でいてくれることが。    よぉし、また料理の写真を撮りためるぞ!!  そうして気合いを入れて、自分の自叙伝に取り掛かるのだった。
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