第12話. 友情と憧れが消えた日

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それ以上に、Aさんにまた嘘をつかれたこと、ショックが大き過ぎて………      あのときあんなに哀しみに暮れていたAさん。 気丈に振る舞っていたAさん。    とても嘘をついているように思えなかった。    でも結局はあれは芝居(えんぎ)だったわけだ……。  お母さんに添えたお花の写真も広い画かなんかだったわけね。  ねぇ、「自殺した」なんて、「自殺」を軽々しく利用してハッタリかまさないで。         Aさんの気持ちがわかるから、Aさんの傷に寄り添った。  ……「自殺」で大切な人を失った、残された人の気持ちをなんだと思っているの?  ただ呆然とするしかできなくて、この後どんな会話をしてどんなふうにグループ電話が終わったのか、よく覚えていない。  はっきり覚えていることと言えば、  「本当のことを話してくれてありがとう」   とAさんに伝えたこと。  また無意識に自分の気持ちを押し殺して相手の気持ちを優先してしまった。  そして、自分は相変わらず超がつくほど馬鹿で 騙されやすく ブレやすい人間だということを再認識した。
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