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バクバク高鳴る心臓の音。
フルフルと震える手で、Aちゃんが住んでいる地域の警察署を調べて電話した。
『こちら大阪○○警察署です』
「すみません!そちらに住んでいる友達がじ…さつしようとしているかもしれません…!」
『落ち着いてください。状況を詳しく聞かせてください』
大きく深呼吸して、警察官に事情を一から説明した。
私とAさんの関係。
Aさんの本名など私が知っている限りの情報を。
警察官は、Aさんの本名を当てに安否の確認に行ってくれるという。
電話を切ったあと、急いでグループLINEに参加すると―――Aさんが電気コードで首を締めている最中だった。
「ううぅ〜……くるし…っ、しにたいっ……」
え?
一瞬、目が点になってしまった。
だって、だって……Aさんは「電話」ではなく、「LINEのメッセージ」で自分の状況をブロ友さんに中継しているんだもの。
……首を締めながら、スマホの文字を打てるもの……?
これ、なんのギャグなの……?
ブロ友さんは「Aちゃんやめて!早まらないで?」などとLINEの文字で励ましているが
よぉーく考えると、不自然過ぎるよ………。
私の心はシラケきっていた。
LINEのトーク画面上で
「苦しい…!!」「もうダメ…!!」「ロープが食い込んできた…!!」
そんなこと、訴えられても………………。
どこまでネットにどっぷりハマっているんだ、Aさん…………。
やっぱりというか、ほら見たというか、オチは
「ごめんね…!!やっぱりわたし、生きる!!」
…というAさんのお決まりの台詞で自殺未遂騒動(自作自演)は決着した。
メンヘラの共通の特徴。
それは、自分の都合が悪いことは記憶がなくなり、気を引くために「死ぬ死ぬ詐偽」を平然と演じきることだ。
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