第12話. 友情と憧れが消えた日

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 Aさんは、拡散記事を書いて以降、また少しづつブログを更新し始めた。    一方、「ぽち」さんのブログの更新頻度も加速していた。  ぽちさんはコメント欄は開放せずに、ただひたすら摂食障害の苦しみと、お母さんへの悲痛な思いを綴っていた。  やっぱり、ぽちさんのどの記事を読んでも、Aさんそのものだ。Aさんの思いそのものが綴られている。                ぽちさんの読者さんの中で、ぽちさんがAさんだと気付いている人はいるのかな…     少なくとも、私は一瞬でぽちさんはAさんだとわかったよ。  私はもともと見抜く力が抜群にある。  というより、敏感過ぎる性質だからか、そういうのはすぐにわかってしまう。  Aさんのもうひとつの人格、ぽちさん。  ――架空の設定で自分を偽ってブログを書くってどんな気持ちなんだろう。     ブログに架空も本物も関係ない。  規則違反でもなんでもないし、自由に書くのがブログの醍醐味だもの。    だけど、申し訳ないけれど…私にはAさんの気持ちが解らない。    いつでも嘘偽りなく赤裸々に書いている私は、ネット上では「まゆちぇ」でしかないんだもの。       もし「まゆちぇ」以外の架空の設定、架空のハンネで書けと言われたら、私は私でなくなってしまう。    
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