第12話. 友情と憧れが消えた日

1/19
11人が本棚に入れています
本棚に追加
/43ページ

第12話. 友情と憧れが消えた日

 Aさんは確かに言った。    7人から誹謗中傷のメッセージが送られてきていると。     そして、7つはすべて捨てアカで、犯人はJさんの可能性が高い と。  自分の想いを記事にしたため、拡散することでJさんに自分の過ちに気付いてほしい、と。  ―――それらのことを、Aさんは私に協力を求めた。  私からしたらAさんに「拡散してほしいとお願いされた」と思っている。     ……だから、思いきってAさんのためにアメンバー限定ブログを全体公開したのに。  「しね」、「きえろ」、「きょげんへき」。  これらはAさんのアンチの決め文句だよね。  よく考えれば 証拠のスクショを1枚も保存していないし、仮に犯人がJさんだとして、どうやって突き止めたのだろう。     Aさんを、問い詰めたい。  ……問い詰めたところで、「記憶がない」と言われてしまえば、もう何も言えなくなる。  ねぇ、久々にたくさんの人に読んでもらえて随分嬉しそうだね。    私のアメンバーさん達はAさんの拡散記事に「いいね」をしていた。    まさか、だよね?  まさか、一時の注目を浴びたいために、「誹謗中傷されている」なんて口走ったなんて、そんなことないよね?  ―――自分の記事を読んでほしいがために、私に「拡散してほしい」なんてお願いしたんじゃないよね?  頭ではわかっていた。  芽生えてしまった不信感に。      わかってしまったのに、ぐっ…とその感情を押し殺した。    いくつになっても直らない、私の悪い癖だ。
/43ページ

最初のコメントを投稿しよう!