シークレットトーク

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「私、結婚したいの!」 「!? はぁ……」 「ねぇ、どうすれば結婚出来ると思う?」  幼馴染みの夏海の突然の言葉に、俺は頭を抱えた。 「ちょっと待て! 話を整理しよう。まずはそこからだ」  夏海には頬をフグのようにぷぅっと膨らませると、目の前のアイスティーのストローをくわえ、不服そうに一口飲み込んだ。  ここは近所のファミレス。休日で暇だから本屋にでも行こうと家を出たところ、玄関先で幼馴染みの夏海に偶然出会い、「ちょっと話があるんだけど」とここに連れて来られた。  夏海の「ちょっと話がある」は今に始まったことじゃない。  だいたいは恋愛話で。彼氏が出来たばかりの頃はノロケ話を、彼氏と喧嘩すれば不満話を、一方的にひたすら聞かされる。学生時代からのいつものことで。それに毎回付き合ってる俺もたいがいヒマ人だな、と思う。  夏海は女友達というより、腐れ縁で兄妹に近い。まぁ、幼馴染みってそんなもんだと思うが。  カランとグラスの中の氷が動いた。グラスの外側が汗をかいたように雫が垂れる。カフェオレの上の層が水っぽくなっていて、俺はストローでくるくるとかき回した。 「私、もう27でしょ。最近、学生時代の友達とか、同期の同僚とか、結婚する子が増えてきて、なんだか置いてけぼりくらっちゃった感じなんだよねぇ……。今年に入って、結婚式に招待されたの3件だよ、3件!」 「それは何か? 周りが結婚してるから、自分も結婚したいってことか?」 「そう!」  短絡的な考えに再び、頭を抱える。  コイツは何でそう、考えなしなんだ……。   
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