3人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ
話しかけたはいいが、何も内容を決めていなかった。
咄嗟に作業服の胸ポケットに入れていた名刺入れを取り出し、彼女に差し出した。
「中村と申します。また自動ドアの不具合がありましたら、お電話下さい。それ以外にも、サッシ 、シャッター等が得意なので、いつでもどうぞ」
「あ、頂戴いたします。宮ノ森と申します。よろしくお願いします」
彼女は名刺交換が予想外だったようで、少し慌てていた。
というか、俺自身も予想外だったから、心臓がドクドクと脈打っている。
どうする?
客先でナンパして信用を落としたくはないし。
言葉に詰まっていたら、先輩が戻ってきた。
「よし、行くぞ。あれ、何してんの?」
最初のコメントを投稿しよう!