運命と思わせて

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話しかけたはいいが、何も内容を決めていなかった。 咄嗟に作業服の胸ポケットに入れていた名刺入れを取り出し、彼女に差し出した。 「中村と申します。また自動ドアの不具合がありましたら、お電話下さい。それ以外にも、サッシ 、シャッター等が得意なので、いつでもどうぞ」 「あ、頂戴いたします。宮ノ森(みやのもり)と申します。よろしくお願いします」 彼女は名刺交換が予想外だったようで、少し慌てていた。 というか、俺自身も予想外だったから、心臓がドクドクと脈打っている。 どうする? 客先でナンパして信用を落としたくはないし。 言葉に詰まっていたら、先輩が戻ってきた。 「よし、行くぞ。あれ、何してんの?」
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