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十五 乱暴された女性たち
(注意:このページは残酷な表現を含みます。過激表現には当たらないように書きましたが、苦手な方はご注意下さい)
トヨの同僚の従軍タイピストの女性か、または別の若い日本人女性はロシア兵に捕まってしまいました。
彼女たちはロシア兵に連れ去られ、走るトラックの上で乱暴されました。
「気絶したその女性は生きたまま、トラックの上から深い谷底に放り捨てられた。そうやって殺された」
トヨがその話を聞いたのは、一緒に誘拐された別の女性も、トラックの上で乱暴されながらその光景を見ていたからです。
彼女は生き残って、のちにその話をトヨに語りました。
暴行されることを防ぐため、男物の服を着て、顔を汚して逃げる女性もいました。
ある日本人女性はそうやって他の男性の集団の中に紛れ、逃げていました。男性達も、女性を集団の内側に入れて必死に自分たちの体で隠し、女性がいることが見つからないようにしていました。
しかし中国人の軍に捕まったとき、身体検査で彼女が男物を着た女性だと分かってしまい、彼女ひとりだけ小屋に連れ込まれました。
幸い彼女は何かされる前に、見張りのすきをついて、部屋の窓から逃げることが出来たと語ります。
語れるのは生存者ばかりなので、死者はもう語ることが出来ません。
こういった話をエブリスタに書くのは迷いました。
しかし語らねば誰も彼女たちのことを誰も知らないまま、歴史の中に消えてしまいます。それは良くないことのように思ったので、トヨの語りとして、ここに書いておきます。
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