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帰宅した彼女
夕方に彼女はいつもより少し早いくらいの時間に帰宅した。
「ただいまー。」
疲れた顔をしているが声は明るいから仕事は上手くいったのだろう。
「おかえり。風呂に先に入れご飯用意するから。」
「うん。そうするありがとう。」
帰宅するという連絡をもらってすぐに湯舟にお湯を張ってあったから湯舟に入れと彼女に言う。
ガサガサと彼女は嬉しそうに入浴剤を選び風呂に入る。
彼女は子袋になった入浴剤をよく買ってためているそれは良い事があった時や辛い時に使っているようだが今日は疲れているのと良い事があったのだろう。
ラベンダーの香りが洗面所にも広がっていた。
「おーい寝るなよ」
俺は外から声をかけて「寝るな」と注意を促す。
何度か風呂で寝てしまい溺れかけた過去がある彼女は今日みたいに疲れている時は要注意だ。
様子を伺いながら味噌汁や魚を温める。
まるで朝食のようなメニューだが彼女は疲れた時は和食が好きだ。
豚汁と煮魚と胡瓜とワカメの酢の物を用意してから風呂場に声をかけに行く。
「大丈夫か・・?」
「うーん。もう出る。」
俺が台所に戻った頃に風呂から出たのか洗面所でドライヤーの音がする。
たぶん生乾きのままで出てくるのは予想している。
「ドライヤーもってリビングにおいで。」
そう声をかけると小さな子供みたいにドライヤーを持ってリビングにやってくる。
リビングのソファーに座らせてドライヤーで彼女の髪を乾かす。
「お疲れ様。何日寝てないんだ?」
「二日かな?」
「そうか・・眠いだろうな。」
「うん。ご飯は食べる。」
そんな会話をしながら髪を乾かすがドライヤーの音がうるさいから少し大きな声でお互い話す。
「乾いたぞご飯たべるか?」
「うん。食べる。」
食卓には丁度少し冷めた豚汁が猫舌の彼女には丁度いい。
「おいしい~。」
そう言いながら彼女はモクモクと食べている。
「昼食べれなかったのか?」
「うん・・修正があったからね。」
「部屋を掃除しょうとしたけど書斎は触れなかったよ。」
「ああ~ごめん。そうだよね。」
彼女は本来綺麗好きだからいつもあの状態ではない。
「なーファイルが並んでいるところにある 「おやすみファイル」ってなんだ?」
俺がそう言うと彼女は
「ああ~あれね。ボツなんだけど納得がいかない企画で昔ねボツの中に自分でもこれいいのにな~って思っていた企画を後で会議に出してくれと言われて採用になった事があったの。」
自分でもボツを納得できている企画ファイルは一年で破棄するがどうしてもボツの理由が納得できないファイルを「おやすみファイル」として保管しているらしい。
企画ならではの話だと俺は思う、俺達営業が脈ありファイルを用意していたり今は駄目でも時間を置いて人間関係を築いて契約になる
事もあるのと同じだと感じた。
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