彼女は美しい

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 はあ、相変わらずがちゃがちゃと騒がしい。  客船内のごった返しに、ぼくは乗った早々から嫌気がさしてきた。  しかし、乗船後すぐから始まった父と母による「紹介」という名の、握手の応酬は止まらない。 「あれがご子息か」 「相変わらずご聡明なお顔立ちをしている」  人々の詠嘆にぼくは作り笑いで対応する。何度も何度も聞き飽きたセリフ。  もううんざりだ。
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