彼女は美しい

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 ドンという大きな音が響き、船が大きく揺れた。  その音に驚き、飛び起きると、部屋の外が何やら騒がしくなっていた。  すぐに両親が、慌てた様子でぼくたちの部屋に飛び込んできた。 「大変、何かあったみたい」  その声が聞こえたのか、彼女が小さく声を上げ、目を覚ました。そして、彼女はゆっくりとベッドから起き上がった。  何も着ていなかったことを思い出し、慌ててシーツを手繰り寄せていた。 「大丈夫、心配ないわ」  両親はそういうとぼくたちに力強くうなずいた。  その言葉を信じ、ぼくは彼女の手にそっと手を重ね、強く握った。不安そうな顔で彼女がこちらをのぞき込んでいるのがわかった。 「大丈夫、ぼくたちならどんな困難だって乗り越えられるよ」  ぼくがそういうと、彼女はいつもの笑顔を取り戻し、 「ええ」と、美しく微笑んだ。  そしてぼくたちの愛を確かめるように、ぼくを強く抱きしめた。  少し経った頃、彼女のご両親もこれまた慌てた様子で駆け込んできた。 顔が青ざめているように見えた。  どう口にしたらわからないように、少しだけ口をもごもごと動かし、お義父さんが、小刻みに何度かうなずくと、小さな声でそう言った。 「水が、入ってきているらしい」  その言葉に、部屋中が驚き、ぼくたちは思わず顔を見合わせた。  そこから、全てのみこまれていくのに、あまり時間はかからなかった。
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