3人が本棚に入れています
本棚に追加
ドンという大きな音が響き、船が大きく揺れた。
その音に驚き、飛び起きると、部屋の外が何やら騒がしくなっていた。
すぐに両親が、慌てた様子でぼくたちの部屋に飛び込んできた。
「大変、何かあったみたい」
その声が聞こえたのか、彼女が小さく声を上げ、目を覚ました。そして、彼女はゆっくりとベッドから起き上がった。
何も着ていなかったことを思い出し、慌ててシーツを手繰り寄せていた。
「大丈夫、心配ないわ」
両親はそういうとぼくたちに力強くうなずいた。
その言葉を信じ、ぼくは彼女の手にそっと手を重ね、強く握った。不安そうな顔で彼女がこちらをのぞき込んでいるのがわかった。
「大丈夫、ぼくたちならどんな困難だって乗り越えられるよ」
ぼくがそういうと、彼女はいつもの笑顔を取り戻し、
「ええ」と、美しく微笑んだ。
そしてぼくたちの愛を確かめるように、ぼくを強く抱きしめた。
少し経った頃、彼女のご両親もこれまた慌てた様子で駆け込んできた。
顔が青ざめているように見えた。
どう口にしたらわからないように、少しだけ口をもごもごと動かし、お義父さんが、小刻みに何度かうなずくと、小さな声でそう言った。
「水が、入ってきているらしい」
その言葉に、部屋中が驚き、ぼくたちは思わず顔を見合わせた。
そこから、全てのみこまれていくのに、あまり時間はかからなかった。
最初のコメントを投稿しよう!