48人が本棚に入れています
本棚に追加
桜色の唇から漏れる荒い息遣いに、近すぎる顔。
異常なぐらい整った顔は、ムカつくほどにニキビ一つない。
まつ毛の長い双眸に写っているのは、間違いなくあたし。
「藤色、ストップストップ」
「何でだよ? 寧音(ねね)。オレに社長は寧音には何してもいいって言ってたぜ?」
そう、あたしは彼の事務所の社長である実の父……まあ、あたしは愛人の娘なんだけど……に国民的アイドル羽鳥藤色(はとり ふじいろ)の世話を頼まれた。
きれいに伸ばした天然の金髪を持った青い目の彼は、ただいま発情期らしい。
ただ最近までステージママに張り付かれていて、学校も行けず無知な彼は、性欲をあまり理解できていない。
お母さんが死んで、何かが壊れたように、彼は女の子に近づくようになった。
結果、お父さんは短大を卒業して就活に失敗して、ニートになっていたあたしを彼に売った。
最初のコメントを投稿しよう!