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「演技で、でしょう?」
人気あるから、藤色が今恋愛ドラマや映画にかーなーり引っ張りだこなのはあたしですら知ってるけれど、さ。
むしろ何本今放送中公開中のラブストーリーに出てる? って不安になるレベルだよ。
ちゃーんと寝てるの? 藤色って。マネージャー代理として心配だよ、本気でさ。
「はん、みーんな女の子たち、演技なのにとろけるように腰砕けになってたぜ?」
ドヤ顔を決めて自信満々な藤色。そんな藤色はチロリと舌を鳴らした。そのままあたしのあごをくいっと引き寄せる。
「ひっ!?」
思わずへんな声をあげるあたし。
藤色は止まらない。さらにあたしを引き寄せる。
そして強引にあたしの唇を奪った。生ぬるくて硬いものがあたしの中にグイグイと入ってくる。
「あ……ん、あああっ!! ……ってやめんかい!」
「ってぇっ!!」
ドカン!!
あたしは一瞬気が遠くなったけれど、藤色を引きはがす。
藤色は不満そうにあたしを見つめる。
「もう、売られてんだから言うこと聞けよ。お前はもうオレだけのもんだ」
キメ顔全開に言う藤色である。
けれども。
ふと、あたしは尋ねる。
そういえばさあ。
「藤色は、好きじゃない人と初めてでもいいんだ?」
あたしはずっと疑問だったことを、思わず口にした。
だって、ねぇ。
そのあたしの言葉に藤色は怯んだ。
「! え、あ、それは」
あ、藤色動揺してる動揺してる。
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