王子様と王家

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丸まって、ぜえぜえいっているあたしに、藤色は不審そうな顔をする。 「寧音?」 「…………」 「顔を上げろよ!」 「!」 強引に顔をあげられてあたしは死にそうになった。 絶対顔赤いんだもん。 あたしはそのまま縮みたい気持ちで藤色を涙目で見た。 「寧音……顔、赤い。オレのこと好きになったのか?」 あたしは思わず一筋の涙を流した。 それが、あたしの答え。 なんでもない日常しか過ごしてなかったのに、なんで、いきなり。 藤色の男の顔を見てときめくなんて……。 あほで間抜けな藤色。 変態でバカな藤色。 すべてのギャップと、さっきの藤色が愛おしくて。 「好きに、なっちゃったかも」
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