48人が本棚に入れています
本棚に追加
笑顔で白く輝く歯を出す藤色君は、まさに俺様な感じで。僕が本来キャラとして目指す姿、そのものだった。
やっぱり、藤色君は僕の憧れの芸能人なんだ――。
運命の相手なのかも。
多分?
いや、絶対そうだ。そうに決まってるよ!
僕はそのことを、送迎に来たお母様とお父様に喜んで伝えた。
両親はそれはそれは喜んでくれた。
内気な僕に友達ができることは、実は初めてのことで……異性にちやほやされはしても、同性の友達はなかなかに難しかった。
だいたいはいじめられるか妬まれてしまうから。はあ。こんな性格だから、僕。
「あの、藤色君、僕のおうちに泊まりに来ない? お父様がぜひ、藤色君をおうちにって……」
モジモジしながら僕は尋ねた。
めっちゃくちゃドキドキした。
心臓が壊れるんじゃ、ってくらいには。
「あ? 別にいいけど……お父様?」
首を傾げる藤色君。
あれぇ??
「? 藤色君はご両親に聞かなくていいの?」
「オレは、いないから」
「……ごめん」
僕は慌てて口を押さえる。
なんて僕は無神経だったんだろう。
「気にすんな」
男らしく笑う藤色君を、僕はやっぱりかっこいいと思いました。
それからです。
僕と藤色君がよく一緒にいるようになったのは。
最初のコメントを投稿しよう!