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プロローグ
――あなたの悪夢、喰わせて頂きます。
掲示板にそう書かれた一枚の紙が張られている。しかし、剥がれかかっている。
繁華街の中心にある駅から線路沿いの細い道を歩いていくと、小さな軒付きの古びた掲示板が現れる。注意していないと気づかないくらいだ。昼間でさえ人通りが少なく、夜になれば、なおのことその存在すら気づかない。また残念なことに、掲示板は街灯と街灯の間に立っていて光が当たらない。
電車が通るたびに、その張り紙は風になびかれていた。
――睡眠時に見る夢でお困りの方、夢喰師が相談に乗ります。相談料・無料。
――眠ったまま目覚めない。それは悪夢の影響かもしれません。
――眠ったまま暴れだす。それは悪夢の影響かもしれません。
――眠っているとき、身体が光り出す。それは悪夢の影響かもしれません。
心当たりある方は、烏丸神社までご相談下さい。夢喰師がすっきり爽快の目覚めに導きます――
――夢喰師。
――それは、人の見る夢の弱きところに取り憑く悪夢を喰い祓う者のことである。
× × ×
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