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「あっ……」
思わず声に出して、マズイと思った。
振り返ったのは金髪の男。
目つきが悪くて、眉間に皺を寄せて、思いっきりガンつけられた。でも申し訳ないが俺の視線は金髪で目つき悪い男の方ではなくて、美人で頑固な男の方に吸い寄せられる。
肝心の美人で頑固な男は、突如立ち止まった隣の金髪目つき悪い男に何があったかわからない様子で、その男を見上げている。
その横顔がまた綺麗で、思わず見惚れそうな自分に喝入れて、頭をブンブン振った。と、同時に湧き上がるのは、苛立ち。
ズンズン突進していって。
金髪目つき悪い男がグイッと一歩踏み出しているが、俺が話したいのはお前じゃない。
美人で頑固な男の腕を、ガシッと掴んだ。
思わぬ動きに、2人して俺をガン見している。
「ちょっとあなた何やってんですか!!」
思ったより大きな声が出て、俺自身ビビったけどそんなことより言いたいことがある。
「お前誰やねん?」と隣で金髪目つき悪い男が舌巻いてどついてくる。「ちょっと黙っといてください! この人に用があるんです!」と俺はその美人で頑固な男から目を離さない。肝心の美人で頑固な男は驚いた顔をして俺をぽかんと見つめている。
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