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伝われ。
この金髪には伝わらない。
処置をさせてくれ。
こんな中途半端な処置で、これ以上悪化させたら俺は、後悔する。
なにに?
なにに後悔するんだ?
この人がどうなろうと知ったこっちゃない。
でも。
「アホなこと言わんとってくださいよ!!」
「は?」
「受診はしないし悪化してもいいとか俺は死なないとか。アホやないですか!? 自分のカラダどうなってもいいんですか!!」
返事を待たず俺は、グイッと強く腕を引っ張った。
「あ、おい! アオ!」
「いって……」
金髪野郎が思わず掴んだ腕は、アオと呼ばれた美人頑固野郎の負傷した腕で。おそらく反射的に、アオという男はその腕を、振り払った。多分、痛かったんだと思う。でもその金髪野郎は、振り払われた手を見つめ、動かなくなった。
なんかやばいかも。
ちょっと思ったが、俺としてはそれどころではない。
「処置だけしたら返しますから!すんません!」
一応謝って、というか別に一緒に来ても良かったんだけどなと思いつつ、それはそれで面倒になりそうだし。
俺は美人で頑固なアオという男の腕を引いて、ひとまず勤め先の病院へ、向かった。
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