服の中の痛み②

2/6
前へ
/224ページ
次へ
♢ 「さっきのアイツ?」 「え?」 「これ、やったん……」 「あぁ……」 そうだった。 この1週間、毎日呼ばれて。 それでこんな傷だらけになっていたんだった。 忘れていたわけではないけれど、痛みがなかったわけではないけれど、今、意識していなかった。 「さっきの金髪、アオの彼氏?」 「いや……」 「じゃあこれは……なに?」 「あーー……」 蓮はパンツ1枚になった俺を、眉間に皺を寄せながらジッと見つめた。 「これは……ロープのあと……これは、噛まれたやんな……?」 蓮が俺のカラダに触れた。 そっと、痛みに、触れた。 いや、触っていない。 触れそうで触れない。 でもなぜか蓮の手の通った場所が、温かく感じる。 「このへんは……殴られた?」 「殴られてへん」 骨盤のあたりに手を当てて聞いた蓮の言葉に思わず返して俺は、まずいと思った。 「……てことは他のは正解やんな?」 「……」 頭のいい奴だと思った。 いや、医者だから当たり前かもしれないけれど。
/224ページ

最初のコメントを投稿しよう!

53人が本棚に入れています
本棚に追加