53人が本棚に入れています
本棚に追加
♢
「さっきのアイツ?」
「え?」
「これ、やったん……」
「あぁ……」
そうだった。
この1週間、毎日呼ばれて。
それでこんな傷だらけになっていたんだった。
忘れていたわけではないけれど、痛みがなかったわけではないけれど、今、意識していなかった。
「さっきの金髪、アオの彼氏?」
「いや……」
「じゃあこれは……なに?」
「あーー……」
蓮はパンツ1枚になった俺を、眉間に皺を寄せながらジッと見つめた。
「これは……ロープのあと……これは、噛まれたやんな……?」
蓮が俺のカラダに触れた。
そっと、痛みに、触れた。
いや、触っていない。
触れそうで触れない。
でもなぜか蓮の手の通った場所が、温かく感じる。
「このへんは……殴られた?」
「殴られてへん」
骨盤のあたりに手を当てて聞いた蓮の言葉に思わず返して俺は、まずいと思った。
「……てことは他のは正解やんな?」
「……」
頭のいい奴だと思った。
いや、医者だから当たり前かもしれないけれど。
最初のコメントを投稿しよう!