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「アイツは、アオのなんなん?」
「……わからん……」
「わからんってなんだよ」
「先輩」
「仕事の?」
「まぁ、そんなもん」
「だから逆らえへんのか……」
なにか納得したように蓮が天を仰ぐ。
しばらく黙って、俺ではないどこか一点を見つめている。
「蓮……俺、帰るで?」
終わったなら、帰ろう。
サツキさんが、待っている。
きっと今日も。部屋で。
「今日帰ったら、殺されんで?」
「……」
「わかっとるやんな? 今の状況……」
蓮が言いたいことも、わからなくはない。
まずいと思った。
サツキさんの手を、振り払った時。
サツキさんの顔は部屋で見るより、哀しみに溢れた顔を、していた。
でも、俺が与えた痛みは、俺が受けなきゃ。
あの人が、潰れてしまう。
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