服の中の痛み②

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「でも……」 「あんな……、俺医者やねんな。こういうの、見つけたら通報するんが、決まりなんよ」 「でも今は仕事やないやんか」 「だったら帰らんでや」 「俺は家に帰るだけや」 「家にはあの人は来んの?」 「来うへんわ」 「んなわけあるか!」 蓮が、なんでこんなにムキになるのかわからない。 たった2回会っただけの、今名前を知った程度の奴。 「アオ……触って、平気?」 「え?」 「俺が、お前に触っても、大丈夫?」 「……うん?」 散々触ってたじゃないかと思って、何をコイツは言っているんだろうと思った。 蓮は、ゆっくり立ち上がると俺の肩にシャツをかけた。いつもの、黒いシャツ。 そして袖を通す前に、シャツの上からそっと、抱きしめられた。それはあまりにふわりとした感覚で、恐らく俺のカラダと蓮の腕の間は、密着していないと思う。少し隙間を開けて、俺を抱きしめた。 「アオ……頼むから。自分大事にしてや……お前なんか、危なっかしすぎる。なんやわからんけど……」 なぜか、蓮の肩が、震えていた。
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