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「でも……」
「あんな……、俺医者やねんな。こういうの、見つけたら通報するんが、決まりなんよ」
「でも今は仕事やないやんか」
「だったら帰らんでや」
「俺は家に帰るだけや」
「家にはあの人は来んの?」
「来うへんわ」
「んなわけあるか!」
蓮が、なんでこんなにムキになるのかわからない。
たった2回会っただけの、今名前を知った程度の奴。
「アオ……触って、平気?」
「え?」
「俺が、お前に触っても、大丈夫?」
「……うん?」
散々触ってたじゃないかと思って、何をコイツは言っているんだろうと思った。
蓮は、ゆっくり立ち上がると俺の肩にシャツをかけた。いつもの、黒いシャツ。
そして袖を通す前に、シャツの上からそっと、抱きしめられた。それはあまりにふわりとした感覚で、恐らく俺のカラダと蓮の腕の間は、密着していないと思う。少し隙間を開けて、俺を抱きしめた。
「アオ……頼むから。自分大事にしてや……お前なんか、危なっかしすぎる。なんやわからんけど……」
なぜか、蓮の肩が、震えていた。
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