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 たぶん高級旅館。ベッドが別々。新婚旅行なのに。 「いろりさん、エステを予約してくれたみたい」  部屋でお茶を飲んでいるところで文さんが言った。 「ありがとうございます。いってきます。文さんは?」 「部屋のお風呂が思っていたより小さいので大浴場行こうかな」  いつもじっとしている人なのに、文さんが部屋をうろうろ。撮影までしている。  ちょっと、いや、だいぶ楽しそう。旦那さんが嬉しいのは私も嬉しい。  初めてのオイルマッサージを受けながら、私も早く好文さんに浸透したいなと思った。  オイルマッサージより痩身のほうが少しでもきれいになれたかな。  心地よくてうっかり熟睡。 「かなりお疲れですね。座り仕事ですか?」 「ええ、まあ」  驚くほどお顔の美しい人がどうして私ごときの足を揉んでいるのだろう。モデルさんとかもっと適した仕事があるはず。  横から見た顔は彫刻のよう。こんなきれいな顔だったら愛されて当然と思えるのだろか。  自分の指の重さに気づいてはっとした。
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