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 顔を包まれるようにキスをして、えっ、もう文さんの指が私の体に入ってる。待って、待って。 「男の人ってどうしてそんなに服を脱がせるのが上手なの? 私、ボタン片手で外せない」 「どうしてだろうね。それも生物として向上しなければならない部分だったのかもね」  畳の上です。畳、私、文さんの順に重なっている。サンドイッチの具の気分。  やだ、もうそんなところ触っちゃうの? 「ひゃっ」  と聞いたことのない自分の声にびっくり。 「失礼します」  の仲居さんの声に二人で背中合わせで正座をする。 「はい」 「お食事をお持ちしました」  そういえば、夕飯時。
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