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「やめたい」
逃げたい。
逃げたい。
仕事から逃げたい。
正直もう好きな仕事じゃなくなっていた。
気分転換にゲームをしたくてログインしたら、たまたま彼と同時だった。
「今日は思いっきり遊びたいです」
「いいですよ」
ボイスチャットをしながら、私たちは思いっきり遊んだ。私はガラにもなく大声を上げたりなんかしてしまったけど、彼は笑って「楽しそうですね」って言ってくれるのが嬉しかった。
本当に幸せな時間だった。
きっと、彼もそうだったと思いたい。
……いや、そうだったから、かな。
彼は、不意に零したんだ。
「ああ……これで貴女が隣にいてくれてたらいいのに」
あまりにも不意打ちな言葉過ぎて、私の鼓動が大きく音を立てて震えた。
コントローラーを動かす私の指が、震える。
「……今すぐ、会いに行ってもいいですか?」
ああ、何を言っているのだろう。
勢いにも程がある。
でも、だって、だって。
落ち込んでいる時って、人肌求めたくなるじゃない
一瞬の沈黙。
一瞬だったけど、その間が私には長すぎて息も吸えなくなった。
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