肯定

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ある錠剤が大流行していた。 気分を楽しくする怪しい類のものでなく、単に物腰が柔らかくなる、何事も許容出来る様になるといった効用で副作用も無い。発明したのは某博士、「ある星から受信した電波通りに作成するとこの様な錠剤が出来た。」との事。Noと言えなくなるその薬は犯罪者につけ入る隙を与えるのではと危惧されていたが、優し過ぎる人間達を前に尻込みした。実際危険犯罪も世界全体から消えていった。皆が錠剤を飲み相互協力がますます広がり世界から貧困や戦争も無くなった。正に理想郷。そんな時、空から円盤が着陸した。人々は快く迎え入れた。円盤から出てきた異星人は周りの人間を見渡しながら「わたくし共の開発した錠剤をお飲みになりましたか?」と尋ねた。「おお、あの薬を開発して下さったのはあなた方でしたか。見ての通り貧困や戦争の類も全て無くなり無事に世界平和を成し遂げました。心より感謝しております。ささ、おもてなしの準備を...」「なるほど、それは良かったです。ですがそれは世界平和の為の錠剤などではありません。征服したい星に送りNoと言えなくしてから奴隷として持ち帰る為の戦略的武器です。ではこの周辺の人間は私の船に乗って下さい...」
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