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3.地縛霊
しばらくして、先輩はコーラとポテトチップスを持って入ってきた。
「麦茶も後で持ってくるね。」
「先輩気を使わないでください。」
「バーベキューって何時頃から支度入りますか?」
「そうね、お父さんが畑から野菜を採って来るから、それから始めようか?」
みんな賛成した。
「と言うわけでぇ…」
葵はソファーに腰掛けると話に加わった。
「でもその人は…雨の日にしか…出ないらしいよね?」
ゆっくりと噛み締めながら話した。
「何でだろう…」
「……『返して!』『胸が痛いの』って言うらしいんだよね。授乳の時間がくるとおっぱいが張って痛くなるんだってお母さんが言ってた…。」
楓花は保育士になるのが夢らしく、勉強しているようだ。
「母が死んでから…そんな噂話が出たよね…
もしかしたらって…そんな予感がして。何回もあの場所に行ったわ。でも出てくれなくて…」
「だから…毎年7月の命日には、地縛霊のためにあの場所に花を…ほんとに嫌な事件だったよね…」
大宝は悔しそうに唇を噛んだ。
真理亜は、漠然とだが、先輩のお母さんの霊が成仏出来てないのを感じ取った。いつも、綺麗で優しい先輩が、痛々しく可哀想に思えてきた。
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