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「貴方は健やかなる時も病める時も生涯をかけて愛することを誓いますか?」
「はい、誓います」
牧師の前で愛を誓い合うカップルは緊張しながらも幸せな表情をしていた。
「ここに結婚することで新たなる夫婦が誕生しました。皆さんはこの出来事の証人です。夫婦の誕生を拍手で祝ってください」
牧師のその言葉に反応するように、会場が拍手の音に包まれた。
「それでは、夫婦になって最初の共同作業です。このナイフで愛を永遠のものに!」
新郎新婦はナイフを受け取る。
「さあ、二人の門出に盛大な拍手を!」
牧師のひと際大きな声の呼びかけに答えるように、会場は割れんばかりの拍手が轟く。
その音の中心にいる新郎新婦は、お互いに視線を交錯させるとゴクリと唾を飲み込み頷いた。
そして、示し合わせたようにお互いが相手の胸にそのナイフを突き刺した。そしてお互い微笑みながらその場に崩れ落ちたのだった。
「これで、二人の愛は永遠となりました。さあ皆さん、二人のために祈りましょう」
会場の拍手がやみ、祈りの言葉が響いたのだった。
~おわり~
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