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「武井様のあの優しいご主人が。私でよければお話を伺いましょう。解決策が見つかるかもしれません」
山咲は女性を抱きとめるように体を支え、なぜならと蘭に流し目をくれた後、再び女性に視線を戻す。
「ここは希望と愛であふれている花屋ですから」
山咲の言葉に、蘭は視界が急に明るくなったような感覚に襲われる。
蘭がフローリストえにしに足を踏み入れたのは、リストラが理由だった。将来が見えなくて絶望の中にいたのが、今は全く絶望を感じていない。もちろん毎日明るいわけじゃない。自分のミスにどんよりと落ち込むこともある。
それでも前を向いていられるのは、ここで出会った人たちの愛に支えられているからだ。頼れるお姉さんの明日香に優しい優姫、ぶっきらぼうという共通点がある椿と麻美。ムードメーカのカケルに美人な愛ちゃん、そして山咲だ。
彼らが与えてくれた希望と愛を、彼らとまだ見ぬ誰かに返すのが蘭の役目だ。希望と愛であふれたここ、フローリストえにしから。
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