門出を飾るスイートピー

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 恋人たちにとっては寒い夜に雪がしんしんと降り続けるのだって、自分たちがロマンチックな一夜を過ごすための演出になってしまう。 「ご乗車ありがとうございました。まもなく新宿です」  お決まりのアナウンスが流れると、電車はスピードを落としてホームに入っていく。  ドアが開くと、ドア付近を指定位置としている女子高生二人組が降りるのについて、人にぶつかりぶつかられながら私もホームへ降り立つ。  タイツを履いていても冷たい冬の風に足元をなでられながら、前を行く人たちと足並みをそろえて階段を下る。少しでも遅れたりすれば後ろを歩く人に舌打ちされるか、最悪将棋倒しになってしまう。自分が足を止めることで事故が起きたらと考えると、ぞっとしてしまう。  階段を下り、人の流れに沿って改札を抜ける。駅に着いてから改札を抜けるまでは自分の意志ではなく、人に流されていく。  それは自分の人生のようだ。
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