門出を飾るスイートピー

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「うちは妻のお義父さんがやってくれたから。恰幅のいい人だったから、サンタの格好がよく似合っていたよ」  当時を思い出すように、人事部長が目じりを下げる。  総務部長は痩身だ。かたやサンタクロースといえば、やや太目なおじいさんがイメージされる。恰幅のいいお義父さんなら、サンタさんの格好もよく似合っただろう。 「うーん、腹回りだけなら僕も十分いけるんだけどな」  伊藤は背もたれに寄りかかり、ポンポンとやや目立つおなかを叩く。 「まあまあ。サンタさんが来てプレゼントをくれるという行為が嬉しいんだから」  ……なんだこの会話。リラックスどころか気の抜けた会話だ。ツッコミ待ちなのか否か、蘭にはわかりかねる。 「そうですね。よし、僕はこれから沢口さんのサンタさんになるよ。準備はいいかなー?」  伊藤が腕まくりをし、テンション高めで聞いてくる。 「あ、はい」 「いやいや。いいかなーって言ったら、あれだよ。もう一回いくよ。準備はいいかなー?」 「……いいともー」  伊藤に応えるように控えめに右手を突き出す。
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