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レッド・アイ対策本部。
大きなモニターに、散りばめた写真。
咲、淳一、紗夜、他総勢18名のチーム。
メンバーのタブレットPCにも同じデータがあり、朝から昼食もとらず、並べ替えては、それぞれに関連性を探っていた。
その中にいて、紗夜だけは、別のことが気になって頭から離れないでいた。
(菊池 瑠美…彼女はあの男が死ぬとわかっていた。普通の少女に見えたけど…何かが普通じゃない)
「ねぇ、改めて見直しましょ」
沈黙に耐えかねて、咲が始めた。
「最初の被害者はここ」
映った都内の地図を指し示す。
「咲さん、被害者…ですか?」
意外に早く淳が指摘した。
咲の目がが豊川を見る。
今までに数々の自殺や、不審死の現場検証をしてきたベテランである。
「確かに、最初から自殺として扱われてきた。だが、ここにいる皆んなは、そうじゃないと思ってんだろ?」
無言の肯定。
「ですよね、やっぱり。ごめん、咲さん。続けてください」
「次は、ここ。ここ。ここ。そしてここ」
始点から、ほぼ一直線に並ぶ点。
「咲さん、5人目の犠牲者が見つかったのは、そこじゃないですよ?」
咲が示した場所は、あの秀明高校であった。
「そうね。でも、被害者は秀明高校の生徒。ここをきっかけに、ある人物の存在が浮かびあがってきたのよね〜紗夜?」
考えながらも、話は聞いていた。
「はい。菊池外務大臣の娘、菊池瑠美、17歳」
胸の違和感が騒ぐ。
「彼女は…いえ、彼女と似た顔の少女が、6人目の被害者が映った映像にいました。…レッド・アイとして」
その響きに、その場の全員が寒気を感じた。
「ここまでの共通点は、死んでも当然の奴らばかり」
「咲さん💦言い過ぎですよ、全く」
「そして、赤い目の目撃情報や映像」
全く気にせずに続ける咲。
「通称、レッド・アイ。ただ…6人目の違いは、明かりの前に姿を現し、ご丁寧に顔まで晒したってことよね〜」
「…わざと顔を見せた」紗夜が呟く。
「そして…変わった。7人目は犯罪者ではなくて普通の学生だった…」
「その通り。それがここ」
直線が伸びて行く。
「紗夜ぁ。確かあの学生は、菊池瑠美を見て逃げ出したんだっけ?」
わざとらしい振り。
「はい。彼女を見て悲鳴をあげ、自転車を放置したまま、逃げました。何人かの証言もとれてます。それから、レッド・アイの情報はありません」
メインスクリーンに、清楚な瑠美の顔が映し出される。
「どう見ても、見とれることはあっても、逃げ出される顔じゃないよな〜」
と、見とれる淳を紗夜が小突く。
「実際、7人全ての時間に、瑠美のアリバイは完璧。極め付けは紗夜、7人目の時は貴女と一緒にTERRA(テラ)にいたのだから、文句なしで白なのよね、はァ〜」
と、豊川が立ち上がった。
「レッド・アイが犯人である証拠はどこにもない。さっき、変わった…って行ったよな?」
紗夜がうなずく。
「自殺じゃなく、他殺と思う理由は二つ。一つは自殺の動機が全くないこと。人を殺してでも自分だけは助かろうって奴らだった。そしてもう一つは、執拗に両目を狙って殺害していること。」
6人の無残な写真がモニターに並ぶ。
「だが、7人目の時は、この二つの共通点が二つともない。俺の現場検証では、あれは本当に運の悪い事故死だ」
「それが起こることを…彼が死ぬことを、瑠美さんは知っていた…」
「な、なにっ⁉️」
思わず口にしてしまった紗夜。
「報告してなくて、すみません」
「瑠美の心を読んだのね、紗夜」
「はい。テラの医療部門で瑠美さんを見た時から、彼女が誰かを心配しているのがわかりました」
たまにはひらめく淳一。
「紗夜。…俺たち見落としてないか?」
珍しく静かな淳の言葉。
考えを巡らす捜査員たち。
「あっ…しまった!」冷静な紗夜が叫ぶ。
と同時に、勘の鋭い咲。
「そっかぁ〜。盲点だったわね紗夜」
「はい。瑠美さんに気を取られていたばかりに、親友の雅美さんのことを考えていなかったわ!」
「あの学生は、瑠美さんを見て逃げたんだ。そこにいた雅美さんも、何かを見てるかも知れない!紗夜、行こう」
出かけようとした丁度その時。
刑事課の電話が鳴った。
一同が固唾を飲んで耳をすます。
「は〜い、警視庁刑事課。どうかしま…」
「先ほど、帝都大病院の院長、大山隆法 62歳が、院内で殺害されました❗️」
全員が直線の先を見る。
そこに、帝都医科大学病院があった。
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