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誰もが持っているのに、誰もが気付かない。寄り添う影のような、背中合わせの友のような、そんな存在の世界がありました。色とりどりのカーテンが風のように揺れ、ビビット、パステル、半透明……まるでオーロラのようです。地面にあたる場所はモクモクとした雲のようであるかと思えば、タオルケットが波打つようにちっとも安定していなかったり、ハンモックのようにゆらゆらとしていたり、ひとまとめでいえば……眠るのが気持ち良さそうなさわりごこちでできていました。
主に住んでいるのはひつじでした。
てのひら大のひつじ、抱っこしやすそうなひつじ、寄しかかるとソファーのようなひつじ、小山のようなひつじ……etc
たくさんのひつじがいましたが、共通しているのは地面に転がっているまんまるい球を見守っていること。そのまるいものは卵でした。ただの卵ではありません。それは『夢のたまご』と呼ばれていました。あるものは光を放ち、あるものは香りを漂わせ、来たる時が来るまで、たまごはひつじ達に見守られて眠っているのでした。
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