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「『ハチノス』ってなんですか?」
「それはな、内臓の一部だ。2番目の胃袋だよ。」
「へー。流石に肉の王子様の高岡さんですね。」
取材陣は随分と若い。多分俺に肉の知識を披露するため。
肉の王子様というので売れだしたタレントの俺。
そして今や俺の取材を受けた店の売上は上がると言われるほど。
食べ放題、チェーン店、鹿、羊…
あらゆる肉の知識を仕入れてきている。
取材を受けているが気が気じゃない。 この店のことは知り尽くしている。味の秘密もお得情報も。
しかし、あれはなんだ。
あんな高額がつけられているのに聞いたこともない。
取材陣が少し席を外した。
チャンスだ。
俺はすぐに店員を掴まえた。
「おい!あれはどういうことだ!?」
俺は値札を指差す。すると店員は頭を下げる。
「高岡様がいらっしゃる時に…すみません。」
「いや、…そうじゃなくて…!」
店員は別に呼ばれて行ってしまう。
取材陣もいる。
ここは肉の王子様のブランドを守られば。
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