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五話 他勢力 (1)
「なぁ、俺らはここの王になるのか?」
それほど高くはないが見晴らしのいいビルの屋上で金髪長身の男は明らかに異能力者だとわかる雰囲気を立ち上らせながら隣の少し弱々しそうな男に聞く。
「少々今回はてこずるでしょうね。なにせ、既存の二つの勢力に私達の勢力、さらに二つの別勢力がこの街に集結しております。見えてないだけでその他の勢力がいるかも知れないのでその点はご注意をお願いします。」
「ふむ、なら手始めにこのビルを領土にかえるとするか。」
と男が言うや否やコンクリート製のありふれたビルから苔や草が生えてくる。
「素材が悪いな、能力が粗方張り終わるまで防御の方を頼む。」
「了解しました。」
と弱々しそうな男が言い即座に防御用の結界を張る。
「張りましたが発動を阻害せず展開するものになっています故、簡易的なものになっております。結界があるからといって能力の浸透速度を落とさないでくださいね?」
「わかってるさ。もうすぐだ。」
と金髪の男が言う。
コンクリートの屋上はすでに草で覆われており転落防止用の柵にそって低木が生えてくる。
「何時見ても不思議な感覚はなくなりませんね。」
「そりゃそうだ。穢れた人間(おれら)がはいっていいところじゃないからな。」
この金髪の男の能力は「楽園(エデン)」領域内で自分の陣営に与する者への攻撃を一切無効化する能力である。要するにこの領域に入った者は、男の陣営で有る限り無敵となるのである。
名を「アダム・ベイカー」という。
そして弱々しい男の名は「トール」能力は「雷霆」指定した場所に"ある物"を落とす能力である。(本人曰く人に使うのでは無く基地などの精密機械が詰まってる所への行使が一番有効打を与えられるそうである。)
「さて」
とベイカーは立ち上がり
「今回の仲間に挨拶してくるか。」
と屋上を後にする。
「お供します。」
とトールは急いで結界を解除しベイカーの後ろについて歩く。
ビル全体に広がった草や低木は衰えと言うものを知らないように管理者が居ない領域を広げていく。
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