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五話 他勢力 (3)
「よし、明日は楽園(エデン)にいくぞぅ」
と元気よく少女は飛び上がる。
「須崎、お前そうでかい声で話すなよ。」
と男はやや迷惑そうな顔つきで少女を嗜める。
ところが須崎と言われた少女須崎茜(すざきあかね)は不満そうに手足をばたつかせて言う。
「だってさーギルさん!最近滅多に殺れないじゃない!神の名前をとってる人なんか!」
「はぁ、、多分それはお前のせいであろう、、」
とギルと呼ばれた男、ギルガメッシュは頭を抱える。
ここ最近神の名前もしくは神の名を冠する神代兵器、能力を持つものが大量に刈られていた。
その訳とはこうである。
須崎はもとはスサノオが依り代にする供物であった。しかし、依り代が女であった為か転生は失敗に終わり、須崎には「神殺し」と言う神話に冠するものを持つ人、兵器、能力に対し絶対殺されず絶対に殺すという、破格の能力を受け継いでいた。
それゆえ神に冠するものを持つものは即座に破壊、もしくは殺害されてたちまち減少してしまった訳である。
ついでに言えばギルs───ギルガメッシュは転生成功組の一人である。だがいくら転生成功した精神力でも須崎が何故か搭載している少年特有の元気の良さには敵わずぐったりとしてしまい、初めてのやり取りで最初の犠牲者となった。それを見た為か須崎の世話はとりあえずギルガメッシュに押し付けられていた。
「なぁ、何故我は顕現させられそして人と同じように戦わねばなるまい?」
と不気味な雰囲気を放つ刀を持つ男が不満そうに言う。
「天羽々斬の付喪さんはしずかにー」
天羽々斬の付喪と呼ばれた男は仮称、雨乃(あまの)と名乗っていて、言われた通り天羽々斬の付喪神である。
「刀が合わない奴が多くてなぁ、下手な奴に握らせて戦うより貴様ら自身で戦ったほうがよかろう。」
とギルガメッシュは言う。
それを聞き雨乃は、いた仕方なしという表情で引き下がる。
「さて、偵察に行った俺の片割れのエンキドゥはどうなったかな?どれ貴様らが苦心して作り上げた無線機とやらを使ってやろうではないか。」
と傲慢な態度でギルガメッシュは無線機の電源をいれる───
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