🦔❤️🐹ハリネズミさんとハムスターさん

初めての部屋

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　帰宅すると針山は遠慮がちに部屋を見渡して、私の勧める、ヒトをダメにするクッションに腰かけた。

　深夜だったので隣の部屋に気を使い、あまり音を立てるわけにもいかず、シャワーは明日というか（今日なのだけど）朝にしよう。
　集合住宅の辛いところだ。

「針山、何か飲み物、のむ？」
「あ、大丈夫です」

　途中のコンビニで買って来ればよかったのだが、すっかり忘れてしまった。

　ひとり暮らしの寂しい冷蔵庫の中には、牛乳と豆乳と作り置きの麦茶。幸い開いていない、炭酸水と緑茶がある。

　遠慮していることはすぐにわかったので、とりあえず今日中にのみ終わらしておきたい麦茶でいいかと、半ば強引にすすめる。

　お盆に二つのコップを置き、キッチンから戻るとすでに針山はクッションにもたれて寝息を立てていた。
　まるでお人形さんのような寝顔に、思わずカメラを向けたくなるが我慢する。

　まぁ、夜も遅いし、という気持ちと、私もさっさと横になりたい感があったので、テーブルにコップを置きメモに走り書きを残しておいた。

　メイクとか落とさなくて大丈夫かな？
　まぁ若いし、ちょっとぐらい無茶しても平気か。

　三十路前の私には到底怖くて出来ないので、簡単にメイク落としのシートで拭き取った。
　針山が帰った後にシャワーを浴びた時にちゃんと落とせばいいだろう。
　手早く足を洗い、歯を磨く。

　二軍落ちしてしまった、襟ぐりのくたびれたＴシャツと短パンに着替えて私も眠りについた。