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作戦
真理「よしっ!頑張るぞ!」そう言って私は両手で自分の顔を軽く叩いた。
私は今日こそ晶からプロポーズされるのだ!
そのために今日のデートでは、晶にプロポーズさせるための場面を作りまくる!!!
待ち合わせの時計台に、11時半ぴったり。
背が高いのに矛盾して猫背で俯き加減なヤツはやって来た。
ターゲット発見!
私は目的対象に向かって一目散に走りかけていった。
「おーい!晶!!!」
晶「…真理ちゃん、今日も元気だね。」ゆっくりとそう言って微笑む彼の目はタレ目がより強調されて、さらに優しい。
真理「だって晶に会えるの楽しみにしてたから、嬉しいんだもん。」そう言って真理は晶の右手に左手を滑り込ませた。
真理「今日は行きたいところがあるから付き合ってね。」
晶「…うん。いいよ。」
そこは大きなホテルの1階にあった。真っ白外観はどことなく高級感がある。
真理が意気揚々と晶を引っ張って行ったのは、ブライダルフェアーだった。
ここまで来て結婚を意識しない男はいないだろう…そう考えると真理は口角が上がるのを隠せないのであった。
店員「あらまあ!素敵なカップルですねぇ。この度はブライダルフェアにご参加ありがとうございます。」語尾の長さが少し気になる化粧の濃ゆい中年の女性が明るく話しかけてきた。
真理「今日は宜しくお願いします。」
店員「お任せくださいねぇ。まずは、お二人共お召し物を着替えて写真を撮りましょう。さあさあ、こちらへ。」
そう言って私と晶は別室に通されたのだった。
離れる時に晶の表情を観察してやったが、いつもと変わらない。
悔しい!ドレスを着た美しい私の姿を見せて、絶対プロポーズをさせてやるんだから!!!
闘志に燃える花嫁姿の真理が、ホテルの教会で晶を待っていると、そこにモデルの様なオーラを放つ男性がやってきた。
黒革の靴音がこちらに気づいて、近づいてくる。
真理「うそっ!晶!!!めっちゃ格好良い!!!」
真理は大きな声でそう言うと、晶をじっくりと観察した。
そう、晶は良い男なのだ。
普段は猫背で前髪で目を隠しているが、今日は違う。
オールバックで優しそうな垂れた瞳。鼻筋が通ったきれいな鼻。女優のような形の整った薄い唇。
背筋を伸ばした晶は、本物のモデルさんのようだ。
顔を真っ赤にさせた私は思わず、口から本音が流れでてしまっていた。
真理「晶を私だけのものにしたい。結婚してください。」
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