第1話

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第1話

 僕のパパは一度眠ると熟睡してなかなか起きない。パパが怖くないのは、眠っているときだけ…。  夜眠る時のおやすみじゃなくて、パパが永遠におやすみ(・・・)してくれたら、僕とママは痛くて怖い生活を終わりにできるかな?。そうだパパに永遠に眠ってもらえばいいんだ!  僕は算数の小テストが終わった残り時間で、そんなことを考えていた。  でもパパを殺したら犯罪になる。パパとは離れたいけど、ママと離れるのは嫌だな… 「罪を犯しても刑務所に入らなくてすむ方法があればいいのに…」  授業が終り休み時間になっても、僕は机に座ったままで一人悶々と悩んでいた。 「だったら、完全犯罪にすれば」 「えっ!?」  不意に隣の席の(おさむ)君に話しかけられ、僕は飛び上がって驚いた。余りに悩み過ぎ、考えが口から駄々洩れしていたらしい。 「罪を犯しても捕まりたくないなら完全犯罪しかないよ!、拓海(たくみ)()相手にどんな風に死んでほしいの?」  楽しそうな弾んだ声で修君に質問され、僕は戸惑いながら答える。 「えっと、眠るように…とか?」  修君は小学生全国テストの上位に入るぐらい優秀で、普段から一人で難しい本ばかり読んでいる。席替えで隣の席になったが、これまであまり話したことはなかった。 「ならコレかな、二種類をブレンドして食事に少量を混ぜれば永遠にオヤスミしてくれるよ!」  修君はオススメの薬の名前をメモすると、爽やかな笑顔でメモを差し出す。  だが僕は修君の言動に驚いてしまい、差し出されたメモを受け取れずにモジモジしてしまう。   「被害者がみつからナイ、加害者が見つからナイ、犯行があったことを証明する証拠がみつからナイ、この3つのナイ(・・・・・)があれば事件は迷宮入りするから頑張って!」  すると修君は、同志を見つけたように嬉しそうな満面の笑みになり、アドバイスまで追加してくれた。 「あっ、ありが…とう、修君」  こうして僕は戸惑いながらも、そのメモを受け取ってしまったのだ。
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