第4話

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第4話

 平日の日中、僕はパパもママもいないのを見計らって田舎の祖母に電話をかけた。  祖母の村にあるアレのことを聞きたいと思ったのだ。だが僕の様子がおかしいことを祖母に簡単に見抜かれてしまう。 「普通に幸せに生きとったら、アレを使いたいなんて思わないだろ?。困ってることがあるなら、おばあちゃんに話しておくれ」  優しい声で心配する祖母に、気づけば僕は洗いざらい話してしまっていた。ママが殺されそうなこと、逃げてもパパが追ってくること。ママを助けたいけど自分には何の力もないことを…、気が付くと泣きながら話していた。 「理沙が反対を押し切ってあの男と結婚した時から、嫌な予感はしていたんだよ…。まさかそこまで酷いことになっているなんて…」   理沙というのは僕のママの名前で、おばあちゃんは僕のママのお母さんだ。  涙ぐんで話を聞いていた祖母は、力になってくれると約束してくれた。そしてアレの使い方といくつかの注意事項を教えてくれたのだ。 「いいかい拓海、村に来るときは最寄り駅までは電車で来るんだよ。駅からは村の人間が運転手をしている巡回バスにお乗り。自家用車で来ちゃいかんよ、アレには車のような大きな物は処分できないからね」 「うん、わかったよ! 電車でおばあちゃんの家に行きたいって、おねだりしてみるよ」  おばあちゃんという力強い味方を得た僕は、完全犯罪計画を二人で練っていった。そして最後におばあちゃんは凄く真剣な声で僕に念を押す。 「拓海はアレのいるところまで父親を誘導だけ(・・)するんだ。もし誘導に失敗しても、決して手を出してはいけないよ」 「うん、わかったよ! 約束するよ、おばあちゃん」
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