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三人でお菓子作りするのも定番だった。
あっちゃんは元々手先が器用で、三歳上の私を差し置いて料理のあれこれを身に着けていった。
「真由ちゃんとあっちゃんはいつも一緒ねえ」
二人で公園に出かけたりすると、向かいの家のおばさんたちが話しかけてくる。
「あっちゃんは私の妹だから」と言うと、「あらあら」と困ったような顔をした。そりゃあ血の繋がりはない、ただのお隣さんだけども。
私はクラスメイトからいじめられるあっちゃんを身を挺して庇うので忙しかった。
あっちゃんがちょっと普通と違うからって、意地悪をしてくる子たちが絶えなかったのだ。
その点では私があっちゃんよりも三年上で助かったと思う。
小学一年生の男子相手でも、四年生なら多少の貫禄はあったのだろう。一緒にいじめ返される対象にはならなかった。
一度はあっちゃんの筆箱を奪われ、男子トイレに逃げられたこともあった。
一年生の男子たちは幼稚で、「きもい」「きしょい」「うざい」などと言うだけで、そのことが実際にはあっちゃんは何も悪くないことを証明しているようだった。
言葉にできない分、行動でいじめるしかないのだろうということは小学生の私にもわかった。
「ちょっと、待ちなさいよ!」
日ごろ、可愛い妹分のあっちゃんを泣かせるだけで許せなかったけど、一年と四年の年の差もあって、大人げなくとっちめるようなことはしなかった。
だけど、あの筆箱を持っていかれたとなれば話は別だ。
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