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あっちゃんの筆箱には、ハローキティのシールが所狭しと貼られていた。
私が買ってもらったラメ付きのファンシーな筆箱を羨ましがったあっちゃんだったけれど、あっちゃんのお母さんは可愛いキャラものの筆箱を買い渋って無地のものしか与えてくれなかった。
それで私たちは少ないお小遣いを出し合って、角の文房具屋でハローキティのシールを購入し、あっちゃんの紺色の筆箱にありったけ貼りまくったのだ。
ママがくれた手芸用ビーズも接着剤でつけたら、世界でたった一つのキラキラ筆箱が完成した。
「わぁ、キティちゃんの筆箱だ!」
「ねっ、こうすればあっちゃんの筆箱も可愛いでしょ。お母さんには見つからないようにしなよ」
「真由ちゃんのほどは完璧じゃないけど……でも嬉しい」
病気がちな私は、低学年のときは学校を休むことも多かった。
だけど、あっちゃんが入学してきてからは妹分を守るのに必死で、それが良い方に転んだのか欠席日数は減っていった。
私が中学に上がる頃にはあっちゃんも打たれ強くなり、親離れならぬ姉離れされた安堵と寂しさを噛み締めた。
これで疎遠になるかと思ったが、あっちゃんが六年生になっても私たちの仲は続いていた。
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