無人島で推しと幸せな結婚式あげちゃいました

　木の皮と葉で作ったウエディングドレス。純白とはいかないけれど、これはこれで素敵じゃないか。
　丁寧にまとめた髪に、摘んできた花を差し込んだ。
　ティアラも花の冠だ。
　式場も全て手作りで、木製の教会の中でツッチーが微笑んでいた。

　2人きりの結婚式。それでも私は、地球上の誰よりも今、幸せの中にいると確信できる。
　木をくり抜いてつくった指輪は私の薬指にぴったりとおさまった。枯れ果てたと思っていた涙が一筋、私の頬を伝っていく。

　持っていたブーケは海に向かって放り投げた。その花束は、誰かが受け取ることはあるのだろうか。
　だけど私たちは、その答えを知ることはないだろう。
　なぜなら、新たに誕生した夫婦には、これからやることがあるからだ。