4話

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だがこれで治まったわけではないだろうと、天王寺は唇を噛みしめて姫木の次の要求を待つ。姫木が満足するまでは付き合うと覚悟して。 指示が出されなければ動けないと、視界ゼロのまま天王寺はそっとその時を待っていたのだが、乱された呼吸を耳に受けながら、天王寺の視界が突然開けた。 「……姫……っ」 そっと伸ばされた姫木の手が、天王寺の目を塞いでいた帯を外したのだ。 視線が絡む。 暗闇から抜け出たその先にあったのは、トロトロに蕩けた姫木の顔と身体だった。一気に熱がこみ上げる。 「天王寺の顔、みたい」 薬が全身に回っているのだろう、はにかんだ姫木は両腕を天王寺に伸ばしてくる。同時に天王寺も姫木の頬に片手を添えた。 「なんと愛らしい表情をみせるのだ」 「天王寺」 「抱きつぶしてしまうではないか」 そんな顔を見せられたら、止まらなくなると素直に天王寺は言葉を吐く。伸ばされた両腕を自分の首に宛がい、絡めさせると、天王寺は帯を完全に取り除いて、姫木に口づけを落とす。 「ふぁ……あん…、っんん」 とたん、甘い甘い耳を擽るような吐息が溢れる。しかも姫木から縋り付くように腕を絡めてきて、唇を奪うようなキスを求めてくる。 「姫、私の愛しい姫……」 「ん、っ、天王寺、……すき……」 心臓が跳ねた。好きと言われ、天王寺の表情が恍惚と光る。 「どうして欲しいのだ」 口づけを与えながら優しく問えば、「もっとして」と返された。ふわふわと溶けた表情と声に、天王寺の下肢は瞬時に硬さを持つ。 しかし、もっと愛したい、もっとじっくり溶かしてみたいと欲望が渦巻き、天王寺は口づけをやめ、身体を下にずらした。 「あああっン!」 同じく硬くなっていた姫木の下肢を口に含めば、短い嬌声をあげて下半身が跳ねた。自身で散々いじっただろうそこをさらに扱くのは痛いかもしれないと、天王寺は口で包むことを考えた。 喉の奥まで咥え込んで搾り上げれば、姫木の下半身がビクビクと震える。 「あッ、ああ……、気持ちいいっ」 舌を絡め、強く吸いつくとそれがいいと喜びの蜜と甘ったるい声を出す。快楽に素直になっている姫木は、恥ずかしさも忘れて感情と言葉を表現する。 普段絶対に聞けない言葉が薬のせいだとしても、もう止めることなどできない。
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